国際財務報告基準(IFRS)と法人税の関係について

国際財務報告基準(IFRS)はアドプション(導入)の流れが明確となっており、税務(特に法人税)との関係のあり方を検討する必要があります。平成21年10月2日に経団連は「平成22年度の税制改正に関する提言」の中で、「国際会計基準とのコンバージェンスの流れの中で、わが国会計基準の改定が相当見込まれることから、個別財務諸表、個別会計基準のあり方についての抜本的な見直しを含め、税と会計の基本的なあり方の整理を行う必要がある」と指摘しています。

IFRSの特徴として、原則基準や経済実体重視といわれていますが、原則に従う限りは企業ごとに会計処理や会計方針が異なることがあります。また、理論的整合性の重視に伴い資産負債アプローチや時価主義のさらなる導入が促進される結果、新たに検討されている包括利益概念は課税所得の基礎となる現在の利益概念と整合しないことは明らかと考えられます。

そこで,企業会計の連単分離という考え方の採用を検討することになります。連結財務諸表はIFRSを適用して作成し,個別財務諸表は,会社法に基づく配当金計算及び税法に基づく課税所得計算の目的に一致させるために日本独自基準で作成する方向となるのではないでしょうか。企業内部では、現在の会計情報収集・作成機能を継続的に運用させた上に、IFRS開示事項に係る会計情報の収集・作成機能を新たに追加するといった対応が求められることとなると考えられます。

IFRSに関連する重要な組織と基準書等

2009年(本年)2月4日に金融庁の企業会計審議会から「我が国における国際会計基準の取り扱いについて(中間報告)(案)」が公表され、2009年6月30日に最終の中間報告として、「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」、いわゆる日本版ロードマップが公表され、2012年を目途にIFRS強制適用の最終決定が行われる予定となっています。
最近、IFRS関連の書籍、雑誌などが数多く出され、またセミナーなども各地で行われています。

ではそもそもIFRSって何のことをいい、誰が作成しているのでしょうか?

ほとんどの本では最初の章に記載されている内容で、読み飛ばすことも多いのではないかと思います。一方で、IFRSが順次公表されている中で,IFRSとは一体何のことをいい、誰が作成しているかをしっかり把握しておけば、今後IFRS関連の書籍を読むうえでも非常に有益ではないかと思います。そこで、「そもそもIFRSって何だろう?」について確認したいと思います。

IFRSとは、日本語で「国際財務報告基準(書)」、英語で「International Financial Reporting Standards」と言います(以下IFRSという)。基準(書)ですから、物理的には本ということになります。実はIFRSには前身となる基準書があり、IAS(日本語で「国際会計基準(書)」、英語で「International Accounting Standards」)と言います(以下IASという)。IFRSは、2009年11月8日現在第8号まで、IASは第41号まで公表済みで現在も有効でですが、今後はIFRSとして公表されるため、IASが増加することがありません。

さらにIFRS、IASともに解釈指針というものがあります。それぞれ、IFRIC(日本語で「国際財務報告解釈指針(書)」、英語で「International Financial Reporting Interpretations Committee」といいます)、SIC(日本語で「解釈指針(書)」、英語で「Standing Interpretations Commitee」といいます)です(以下それぞれIFRIC、SICという)。IFRICは18号まで公表されており、SICは32号まで公表済みで現在も有効ですが、今後はIFRICとして公表されるためIASと同様今後SICが増加することはありません。IAS、IFRS(基準書)、SIC、IFRIC全体をまとめた広義の意味でもIFRSとよばれたりします。

設定主体ですが、IASB(International Accouting Standards Board)が現在の会計基準設定主体でIFRSを公表しており、IFRIC((委員会)International Financial Reporting Interpretations Committee))が現在の解釈指針設定主体でありIFRICを公表しています。IASBの前身はIASC、IFRICの前身がSICでしたが、それぞれ現在は存在していません。
会計基準等の設定主体とその基準の対応関係を簡単にまとめると、IASB→IFRS、(前身)IASC→IAS、IFRIC→IFRIC、(前身)SIC→SICということになります。

さらにIFRSとIFRICになる前段階の公表物というものがあります。ED(Exposure Draft)「公開草案」、DP(Discussion Paper)「予備的見解」、DI(Draft Interpretations)「指針草案」です。EDとDPはIASBからの公表物で、EDはIFRSとなる一歩手前の公表物、DPは、EDを公表する前段階のものです。DIは、IFRICからの公表物で、新たな解釈指針となる一歩手前の公表物、最終的にIFRICとなるにはIASBの承認が必要です。
IFRS,IFRIC,IAS,SIC,IASB,IFRIC,IASC,SIC,ED,DP,DIなど、ここで紹介したもののほかにもまだ設定主体などについて言葉がでてきます。
このようにIFRS関連の書籍等を読むと、3文字から5文字の英単語が頻繁に出現し、読みづらくなることもあるかと思われます。
これらの単語の区別がしっかりできていれば、今後IFRS関連の書籍をスムーズに読めるのではないでしょうか。

公認会計士試験合格者等の育成と活動領域拡大に関する意見(中間)が公表されました

今年度も公認会計士2次試験の合格発表の時期が近づいてまいりました(昨年度は平成20年11月18日発表)。

監査業界としても今年度の合格者数は何人か大変注目しております(昨年度は3,625人)。その理由は合格者の方の就職(特に監査法人への就職)の見通しが芳しくないと予想しているからです。

これに関するものとして平成21年7月31日に金融庁より「公認会計士試験合格者等の育成と活動領域拡大に関する意見交換会中間取りまとめの公表について」が公表されております。
この公表は、公認会計士となるためには2次試験合格、2年間の実務経験(業務補助等)及び座学研修(実務補修)が必要となりますが、近年の合格者の急激な増加により、実務経験を積む受け入れ先(主として監査法人)の不足、実務補修の場所の不足等に起因する教育の質の維持が困難となっていることを問題点としてとらえて当面の対応策をまとめたものとなっています。

主なポイントは①経済界における周知活動②合格者が経済界で活躍しやすくなるような環境整備③合格者の意識改革④教育環境の整備⑤試験の実施等です。これらの趣旨は、合格者の受け入れ先として監査法人以外の一般企業を想定し経済界への周知を進めるとともにその環境整備(制度、就職説明会等)をすすめる。逆に合格者に対しては経済界も就職先としてあることの意識改革をすすめる。また環境面(実務補修)については一般企業在籍者を想定してカリキュラムや体制を構築することとしこれに経済界も協力するということです。

公認会計士試験の新規合格者の方にとっては厳しい環境だと思いますが、監査業界の先輩として公認会計士試験の新規合格者の方の今後のご活躍を期待するものであります。