「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました

平成25年12月5日に、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」より「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。このガイドラインは、中小企業・小規模事業者等の経営者の皆様による個人保証の契約時と履行時等における課題の解決策を具体化したものとなっています。
今回は、当ガイドラインの概要を端的にご説明します。

まず、経営者保証を契約する時点における対応として、金融機関は以下の(1)~(4)の全部または一部を満たす中小企業に対して、要件の充足度合に応じて経営者保証を求めないことや保証機能の代替手法の活用を検討することとされています。

  • (1)法人と経営者が明確に区分・分離されていること。
  • (2)法人の資産・収益で借入返済が可能であること。
  • (3)適時適切に財務情報が開示されていること。
  • (4)内部又は外部からのガバナンス強化により(1)~(3)を将来にわたって充足する体制が整備されていること。

次に、事業承継時の対応として、金融機関は前経営者の保証債務を、後継者に当然に引き継がせるのではなく、後継者との保証契約の必要性を改めて検討することとされています。

最後に、経営者保証が履行される時点における対応として、保証履行後も保証人の手元に残る資産等を拡充するよう検討されています。具体的には以下の(1)~(4)のような対応となっています。

  • (1)破産時の自由財産(99万円)は、原則として経営者の手元に残る。
  • (2)金融機関は、事業再生等の早期着手により法人からの回収見込額が増加した場合、自由財産に加えて「一定期間の生活費(雇用保険の考え方を参考に、年齢に応じて約100万円~360万円)」を経営者に残すことを検討する。
  • (3)金融機関は、「華美でない自宅」について、経営者の収入に見合った分割弁済をする等により、経営者が自宅に住み続けられるよう検討する。
  • (4)保証債務履行時点の資産で返済しきれない保証債務の残額は、原則として免除する。

当ガイドラインの詳細につきましては、下記URL(日本商工会議所のウェブサイト)をご参照ください。
http://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2013/1205140000.html

新社会福祉法人会計基準について(その3)

今回は、新社会福祉法人会計基準における区分方法の変更について概説します。

まず、前回のエントリーで記載致しましたとおり、新基準は社会福祉法人の営む全ての事業に適用されます。そこで、社会福祉法人の営む事業を社会福祉事業、公益事業及び収益事業の3区分に分けて集計することとなりました。例えば、介護老人福祉施設は社会福祉事業、有料老人ホームは公益事業、駐車場事業は収益事業となります。これにより、性質の異なる各事業の財務状況が把握できることとなります。

次に、各事業区分を「一体として運営される施設、事業所及び事務所」毎に区分して集計します。これを拠点区分といいます。これにより各拠点の財務状況が把握できることとなります。
さらに、各拠点区分で提供するサービス、例えば、介護老人福祉施設、通所介護、短期入所生活介護等のサービス毎に区分して集計します。これをサービス区分といいます。これにより各拠点におけるサービス毎の財務状況が把握できることとなります。

以上が新基準の区分方法となります。新基準の目的の一つである、法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析を可能とするとともに、外部への情報公開に資するものとするという観点から、上記のような区分方法は有用と考えられます。

新社会福祉法人会計基準について(その2)

今回は、新社会福祉法人会計基準が制定された背景について概説します。

まず、従来の社会福祉法人の会計を取巻く状況は、その営む事業に応じて会計ルールが異なるなど、会計ルールが併存しており事務処理の煩雑さ、計算結果が異なる等の問題が指摘されていました。新基準では、これらの問題を解消するため社会福祉法人の営む事業に横断的に適用される統一的な基準となっています。

また、社会経済状況の変化に伴い、社会福祉法人にも一層の効率的な法人経営がなされること、また公的資金や寄附金等を受け入れていることから、事業の効率性に関する情報の充実や事業活動状況の透明化が求められています。新基準はこれらの社会要請に応えるため、上場会社に適用されるような企業会計の考え方も参考とされ、法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析が可能になるなど、外部への情報公開も勘案されたものとなっています。

以上のことから、旧基準から新基準への移行作業には少々手間がかかると思われますが、新基準への移行完了後は、会計処理が簡素化され、さらに有用な情報が充実するものと考えられます。