会社法の改正について(その2:監査等委員会設置会社制度)

「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法といいます。)が、平成26年6月20日に成立し、6月27日に公布されました。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

今回は、監査等委員会設置会社制度について確認します。

今般の改正において、新たな機関設計として監査等委員会設置会社制度が導入されました。監査等委員は取締役で、その過半数は社外取締役である必要があります(399条の2第2項、331条6項)。また、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役は、選任や報酬決定において区別され(329条2項、361条6項)、任期も異なります(332条3項、4項)。監査等委員会及び各監査等委員の権限は、基本的には、指名委員会等設置会社(現行法の委員会設置会社)の監査委員会及び各監査委員の権限と同様ですが、それに加えて監査等委員である取締役以外の取締役の選解任等及び報酬について株主総会で意見を述べることができるものとされています(342条の2第4項、361条6項)。さらに、監査等委員会設置会社では、定款の定めにより取締役会決議事項を軽減することができます(399条の13第6項)。

監査等委員会設置会社のメリットとして、例えば以下の点が挙げられます。

  • ・取締役会で議決権を有する監査等委員による監査は、監査役監査に比べてより経営監督機能を高めることができると考えられます。
  • ・定款変更により、取締役会の決議で重要な業務執行の決定を取締役に委任することが可能となり、より迅速・機動的な企業経営が可能となると考えられます。

一般労働者派遣事業・職業紹介事業の監査証明業務の概要

<一般労働者派遣事業・職業紹介事業の監査証明業務の概要>

一般労働者派遣事業や職業紹介事業(以下「一般労働者派遣事業等」)の新規許可及び有効期間の更新を行うにあたっては監査法人又は公認会計士(以下「監査法人等」)による監査証明が必要となる場合があります。

一般労働者派遣事業等の新規許可及び有効期間の更新を行うにあたっては一定の許可要件(基準資産要件・負債比率要件・現金預金要件)を満たす必要があります。諸事情で年度決算時に許可要件を満たすことができなかった場合に、基準資産額または現金預金額を増額することで、その後の中間決算書・月次決算書で許可要件を満たすことができれば監査法人等の監査証明を添付することで新規許可及び有効期間の更新が可能となります。
また、有効期間の更新の場合は、「監査証明」に代えて、監査法人等による「合意された手続実施結果報告書」を添付することも可能です。
なお、税理士は一般労働者派遣事業等の認可有効期間の更新に必要な「監査証明」または「合意された手続実施結果報告書」は発行できません。

<監査証明業務と合意された手続業務(AUP業務)との相違>

有効期間の更新の場合は、監査証明ではなく、「合意された手続」の実施も可能とされています。
「合意された手続」は、英語のAgreed Upon Proceduresの頭文字をとって“AUP”と略されることがありますが、「合意された手続」とは、公認会計士が依頼者(事業主)との間で事前に調査手続の詳細について合意し、その合意された手続を実施して結果を報告する業務をいいます。
監査証明業務と合意された手続業務(AUP業務)の違いは、端的に言えば、決算書全体の適正性について公認会計士が保証することが監査証明業務で、会社との間で合意された手続のみを実施し、その結果を報告するのがAUP業務、ということになります。

<一般労働者派遣事業等の許可の有効期間の更新に係る合意された手続(AUP)について>

監査・保証実務委員会研究報告第24号《一般労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対して公認会計士等が行う監査及び合意された手続業務に関する研究報告》において、
下記のような具体的な手続き例が示されています。

  • (1) 月次決算書及び年度決算書に計上されている残高を会社の総勘定元帳の勘定残高と集計突合する。合致しない場合には、差異の金額を手続の実施結果の記述において明示する。
  • (2) 年度決算書に計上された税引前当期利益の金額を、当該事業年度における法人税の納税申告書別表四の写しと突合する。さらに、年度決算書に計上された法人税等の金額を当該事業年度における納税証明書と突合する。合致しない場合には、差異の金額を手続の実施結果の記述において明示する。
  • (3) 上記(1)の手続実施の結果、月次決算書に計上された「現金及び預金」について合致した場合には、会社の当該総勘定元帳の残高を会社入手の自己名義の銀行残高証明書及び会社作成の手許現金有高表(金種別)と突合する。合致しない場合には、差異の金額を手続の実施結果の記述において明示する。
  • (4)上記(3)の手続実施の結果、月次決算書に計上された「現金及び預金」について合致しない場合には、会社から差異金額の説明及び関連証憑の提示を受け、関連証憑に記載された内容を照合し、金額を突合する。
  • (5) 上記(1)の手続実施の結果、月次決算書に計上された「売掛金」、「未払金」、「借入金」、「資本金」のうち合致した勘定残高について、総勘定元帳から、年度決算書日後、月次決算書日までに生じた残高の増減の記録から会社と合意した取引○件を抽出し、会社から提示を受けた関連証憑との突合を行い、日付及び金額の一致を確かめる。

上記内容はあくまで参考ですが、実際には、厚生労働省の所管労働局(実施結果の利用者)の関心や実施結果の利用のあり方を勘案し、帳簿記録の増減記録金額が事実によって裏付けられなかった場合に基準資産額が20百万円等に事業所数を乗じた金額を下回ってしまう程に影響を及ぼすかどうか等を勘案し、依頼者である事業主と協議及び合意の上、手続実施の内容を決定する事となります。