円安の影響について

日銀が発表した9月の短観で、大企業の製造業以外は落ち込み、全体としては、実質的にほぼ横ばいとなりました。円安の企業の業績に対する影響で明暗が分かれたようです。

大企業の製造業は、海外生産の好調さや円安を受けた海外収益の円換算額が膨らむ効果の恩恵を受けていますが、中小企業では、円安は一般に、原材料や部品の輸入コストを押し上げ、企業にとってコスト上昇要因であり、販売価格に転嫁しなければ、経営を圧迫する事になります。

円安の悪影響は、今回の短観に表れた以上に、この先企業経営に影を落としそうです。
円相場は一時、1ドル=110円台まで進みましたが、短観で大企業(製造業)が想定した今年度のレートは1ドル=100円73銭でした。(今回、企業が回答したのは8月末から9月末までであり、この間、円は対ドルで6円以上、下落しましたが、今回の回答にまだ十分反映されていない可能性が高いといえます。しかも、日米で方向が異なる金融政策を考えると、円安は一段と進み、長期化する構図にあります。)

今では国内企業の約8割が非製造業です。昨年末以降、景気を引っ張ってきたのも非製造業であり、ここが強くならなければ、日本経済全体の底上げも賃金上昇も難しいといえます。

一方で、雇用環境は改善しています。人手が余っているか足りないかを表す「雇用人員判断指数」は、リーマンショック前の2008年3月以来初めて、全規模・全業種で「過剰」より「不足」が多くなりました。こういった国内環境も、企業のコスト上昇に拍車をかけているといえます。

中小企業では、コストの上昇を価格に転嫁する事は容易ではありません。事実、ある商工会議所のアンケートによると、円安で恩恵を受けると答えた企業は全体のおよそ1割しかありませんでした。円安は、必ずしも日本経済全体にとってプラスとはいえません。
いずれにせよ、企業には、為替の変動に負けない経営の工夫及び企業努力が必要といえます。

日銀短観: http://www.boj.or.jp/statistics/tk/index.htm/#p01